歯周病の治療について
軽度歯周病の治療について
当院では、歯周病の進行度に合わせて、基本治療から外科的治療まで幅広く対応しています。 こちらでは、軽度から重度までの歯周病に対する治療の流れや方法についてご案内します。
歯周病検査と基本治療
歯周病検査
歯周ポケット検査

歯と歯ぐきの溝(歯周ポケット)の深さや出血の有無を確認し、歯周病の進行度合いを検査します。歯周病の進行にともない深さが増します。
歯の動揺度検査

器具で歯を押して、歯のグラつき度合い(動揺度)を調べます。進行するにつれ、動揺度が増し、平面方向だけでなく上下にも動くようになります。
レントゲン検査

レントゲン画像を検査して歯を支えるあごの骨の形状や密度を確認します。歯周病が進行するとあごの骨が小さくなり歯が長くなったように見えます。
プラークの付着の確認

汚れ(プラーク)の染め出しを行います。汚れが残りやすい部位を明らかにし、プラークコントロールにつなげます。
噛み合わせチェック

通常はすべての歯でバランスを取っています。しかし、噛み合わせが悪く一部の歯だけに過度の負担がかかっていると、歯周病にかかりやすくなるので調整します。
歯周病の進行状況と治療
軽度歯周炎

進行状況
歯ぐきに炎症を起こし始めた状態。歯を支える歯周組織への破壊が進んだ軽度歯周炎も含まれます。歯周ポケットの深さは3mm以下程度です。ブラッシング時に出血することがあります。
治療内容
汚れ(プラーク)を落とすためのブラッシング指導を行います。歯石を除去し、必要に応じて歯ぐきの中の歯石取りを行います。歯のクリーニング(PMTC)も大切です。
中等度歯周病

進行状況
炎症が進行し、歯を支える歯周組織(あごの骨)が半分ほど溶かされた状態です。歯周ポケットの深さは4~6mm程度になり、歯ぐきの腫れや歯ぐきからの出血があります。
治療内容
歯石取りと歯ぐきの中の歯石取りを実施。歯ぐきの中の歯石取りでは麻酔を使用することもあります。また、進行度合いによっては歯周外科治療を実施。
重度歯周病

進行状況
炎症がさらに進行し歯を支えるあごの骨がほとんど溶かされた状態。歯周ポケットの深さは7mm以上で、歯がグラつきます。膿が出るので口臭もきつくなります。
治療内容
歯周外科治療を行います。歯の保存のため再生療法を試みます。お口の状態により抜歯が選択されることもあります。
PICK UP!歯周病は薬でも治る可能性があります
歯周病は細菌による感染症であり、原因菌に効果を発揮する抗菌剤を用いた治療が可能です。まず、位相差顕微鏡でお口の中を観察し、生息している細菌の種類を特定します。それを踏まえて適切な薬剤を投与し、原因となる微生物を不活性化させて歯周病の改善を目指します。
当院では、みなさんのお口の健康を守るため、歯周病治療に力を入れています。歯ぐきの腫れや出血などの症状がありましたら、なるべく早くご相談ください。
重度歯周病の治療について
歯周病の治療は、まず基本治療から始めます。基本治療とは、精密な診査・診断後に行う、歯の汚れ(プラーク)のコントロールなどの歯周内科治療のことです。基本治療でも改善が見られない場合は、歯周外科治療へ進みます。
また、重度の場合は、あごの骨が大きく失われていることがほとんどです。そのため、再生療法で骨や歯周組織の回復を目指します。歯ぐきが下がって歯根が露出している場合は、歯周形成外科で形態を整えます。
中等度の歯周病の外科治療
歯周ポケットそうは術

「歯周ポケットそうは術」は、狭い範囲が中等度の歯周病にかかっている場合に行う治療です。歯ぐきに局所麻酔をしてから、歯周ポケットの中にこびりつく汚れ(プラーク)や歯石を除去します。膿や炎症を起こしている歯肉部位も除去して、歯ぐきの治癒を促します。
フラップ手術

中等度から重度の歯周病に行う外科処置です。局所麻酔をしてから歯ぐきを切開し歯根を露出させて歯周ポケットの奥深くに付着する汚れ(プラーク)や歯石を除去します。そして感染した歯ぐきを取り除いてから縫合して治癒を促します。
再生療法(エムドゲイン)
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エムドゲイン法は、進行にともない破壊されてしまった歯を支えるあごの骨を再生するための療法です。中等度から重度の歯周病で行います。まず歯ぐきを切開し歯根に付着する汚れ(プラーク)や歯石を除去して、歯ぐきの炎症部位も除去。そしてエムドゲインゲルという歯周組織再生誘導剤を塗布し、歯ぐきを縫合して歯周組織の再生を促します。
歯周形成外科
CTG(結合組織移植術)
抜歯後に陥没してしまった歯肉部や歯根が見えてしまうほど歯ぐきが痩せてしまった部位に、結合組織を移植するのがCTG(Connective Tissue Graft)です。上あごの奥歯の内側の口蓋(こうがい)部分から結合組織を採取して、歯ぐきの痩せている部分の骨膜と上皮の間に移植します。
FGG(遊離歯肉移植術)
歯根のまわりにはコラーゲン繊維が多く含まれている角化歯肉があります。上あごの口蓋部分から上皮と結合組織を採取して、角化歯肉を増やしたい歯根のまわりに移植するのがFGG(Free Gingival Graft)です。
PICK UP!歯周病はメインテナンスが大切

歯周病は自覚症状が出にくく、腫れや出血、歯のグラつきなどに気付く頃には進行していることが多い病気です。そのため、治療に長い期間を要したり、抜歯が必要になったりする場合もあります。
歯周病の進行の目安の一つが、歯周ポケットの深さです。中程度から重度の歯周病では、治療によって一時的に症状が安定しても、歯周ポケットが深いまま残ることがあります。これは、再発リスクがとても高い状態です。こうしたケースでは、安定した状態を保ちお口の健康を保つため、メンテナンスを継続的に行うことも検討されます。


